ノマド時代に「普通の人」が生き残る道

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「超ノマド」はムリでも「下層ノマド」への転落は避けるべき

   「下層ノマド」は、仕事を求めてさまよい続ける貧民層。簡単にいうと、グローバル版「出稼ぎ労働者」です。過去の労働者は田舎の農村部から、職や住居を求めて都市部へ移動しきました。これと同じようなことが、国境をまたいで起こる可能性があります。

   現実にUAEの首都ドバイの建設現場で、24時間体制でビルを作っているのはインドやパキスタンから来た出稼ぎ労働者です。彼らは半年や1年限定のビザを持って、建設現場で働きます。仕事がなくなれば国外追放され、そしてまた別の国の建設現場で働くのです。

   このような未来予測を受けて、私たちはどうすればよいのでしょうか。「そんな未来は受け入れがたい」と直視を避けていると、知らないうちに悪い方に巻き込まれるリスクがあります。現実を認め、それに備えておく方が賢明です。

   超ノマドを目指せる人は、それに向かって厳しい国際競争に挑んでいけばいいと思いますが、問題はそうでない普通の人々です。もちろん日本政府の政策などに問題がないわけではありませんが、政府は変わるかもしれないし、そうでないかもしれない。それを変えろと叫び続けると同時に、個人でできるところは個人でサバイバルしていく意識が大事です。

   例えば、単価が下がるフリーランスの人は、生活費の安い田舎や、または思い切って生活費が3分の1くらいになるアジアの国に移住し、リモートで東京の仕事を受注することもできます。単価はそれでも下がっていくでしょうが、生活費をもっと下げれば相対的には余裕ができます。そして、その余裕の間に技能を上げる自己投資をする。

   超ノマドを目指さない普通の人が、どうやって生き残っていったらいいのか。前回紹介した「固定的なものからの脱却」もその一つですが、今後もこの連載で引き継ぎヒントを紹介していきたいと思います。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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