「同じ副部長で年俸100万も違うなんて」 抗議の社員に社長が激高

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   知り合いのIT機器販売代理店の社長から「ちょっと聞いてくれよ」と怒りの電話がありました。主要地域を担当する営業のC副部長が、年俸に不満をぶちまけてきたのだそうです。

「自分の年俸が、同業他社で同じような地位で同じような実績をあげている人よりも低いとね。それじゃ、どこの会社の誰の事を言っているのか具体的に調べてこいと言ったんだよ。同じ代理店同士なら社長もよく知っているし、裏が取れるなら上げてやらないこともないと思ったからね」

自社の給与に文句を言うなんて経営批判だ!

同じ会社の同じ職位で年俸200万円もの差
同じ会社の同じ職位で年俸200万円もの差

   社長は他社との比較なら、引き抜きを予防する意味から年俸の見直しも止むなしと思ったようですが、Cさんは今度は同じ副部長のDさんをヤリ玉にあげてきました。

「あいつは『D副部長は自分より仕事をしていないのに、100万円近く年俸が高いのは納得ができない、私も上げてください』と言い出したんだ。これにはキレたよ。他社との比較ならともかく、自社の給与構成に文句をつけるのは経営批判だろ。『文句があるなら会社辞めて、お前が社長をやればいい!』って怒鳴ったんだ」

   鼻息の荒い社長の話を電話越しに聞いて、私の感想は「あー言っちゃったなぁ」という感じでした。この会社は年俸契約している副部長以上を互いに競わせるために、年俸(賞与を除く)を社内で公開しています。

   同じ副部長の年俸には、600万円から800万円の幅があります。そんな中、Dさんの年俸が自分よりも100万円も高いことを知ったCさんが不満を募らせ、夏季賞与面談の機会に噛みついてきたわけです。

   DさんはCさんよりも10歳ほど年上で、2年ほど前に社長直々に他社からスカウトしたベテラン営業マン。無駄な給料は払わない社長の事ですから、Dさんは実績以外の期待に応えているから高い年俸を払っているのだと思い確認すると、やはりそうでした。

   Dさんは社長の特命を受け、長年の経験で培った業界内の太い人的パイプを使って、代理店の元受け企業や他の代理店の情報を逐次社長の耳に入れていたのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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