部下に「体臭がキツい」と注意をしたら「人権侵害!」とキレられた

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臨床心理士・尾崎健一の視点
「本人の力ではどうしようもないこと」には気を使うべき

   「人権侵害」という表現が当てはまるかどうかは分かりませんが、本人の力でどうしようもないことで尊厳を傷つけるとハラスメントに当たる可能性があります。臭いは目に見えず主観的な要素もあるので、店長が「みんながそう言っている」と伝えると「周囲が根拠なく追い詰めている」と誤解されがちです。ここは店長自身が悪者になり「自分の基準でそう感じる」と伝えたうえで、解決策について一緒に考えるのが理想だと思います。

   腋臭はアポクリン腺という臭いを出す汗腺によるもので、対策としては清潔にすることが大事なようです。夏はこまめに汗を拭き、着替えをするようにしましょう。制汗スプレーを使ったり、脇毛を剃って雑菌の繁殖を防いだりすることで効果があがる場合もあるようです。心配なのは、Aさんがにおいを気にしすぎる「自己臭症」という精神不調に陥ること。うつ病に発展する場合もあるので注意が必要です。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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