自身の衰えに向き合うことが「円熟期の男性」に必要
身体醜形障害が起きるきっかけを、ひとまとめに語るのは難しい。ふと鏡を覗いた際にわずかな見た目の変化が気になり、徐々に不安になるパターンや、「最近、髪の毛薄くなったんじゃない?」という友人の何気ない一言がなぜか頭に残り、日に日に増大する場合などさまざまだ。
また、自分では見た目を過剰に気にしている意識はないが、周囲の人がその様子を心配して発覚することもある。たとえばプレゼンで以前より露骨に緊張するようになったり、大事な商談の直前に身だしなみばかりを気にして時間に遅れてしまったり。これらは潜在的な見た目への強い意識が、本人の気付かぬうちに「支障」へとつながっている。
「薄毛を理由にクリニックを訪れる人の中にも、“気にしすぎているだけ”の人は少なくありません。見た目への不安が原因でビジネスや日常生活にトラブルが頻発するようであれば、抗不安薬 などを投与します。そこまで重度でない場合でも精神的なケアを行い、考え方やものの見方を変化させていくようなアプローチを行っています」(小林院長)
持って生まれた性格が発症要因であるため、身体醜形障害を防ぐ手立てはそう簡単ではない。とはいえ見た目への過剰な意識が精神疾患につながる可能性を覚えておくだけでも損はない。大切なのは外見に表れる自身の衰えを予測し、いかに客観的に向き合うか。 それが円熟期へと向かう男性の見た目意識におけるカギといえそうだ。