結婚後に強制的な「異動命令」 セクハラにならないのか?

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臨床心理士・尾崎健一の視点
同じ部署だと有給休暇を一緒に取得しにくくなるのでは

   本人の立場からみれば、「職場結婚後は女性が異動」という暗黙のルールだけで本人が望まない異動を強制するのは、女性を理由に仕事をしにくい状況にさせる環境型セクハラに当たるのではないでしょうか。このような理不尽な慣行が続けば、自分のキャリアが制限されるのを嫌がって結婚を躊躇する人が出てくるかもしれません。

   その一方で、夫婦が同じ職場で働くことについて内部統制以外にも問題がないか、いまいちど行内で見直しを行ってはどうでしょうか。家庭内のインフルエンザ感染で同時に休んでしまうリスクであるとか、家庭内の旅行などで有給休暇を一緒に取得しにくくなるとか。人数の少ない部署では、同僚が一緒に働きにくいという問題もあるかもしれません。業務上の合理性があれば、「結婚後はいずれかに異動命令を出すことがある」旨を就業規則に明記し、場合によっては男性も異動するようにすればセクハラの問題はなくなると思います。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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