ブラック企業を見せしめにしたいなら「証券営業」から始めたらどうか

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ノルマと連帯責任、人格否定の罵倒の日々

   「いや、自分の知っている証券会社の社員は違う」と主張する人もいるだろう。確かに同じ証券会社でも、本部勤めのエリート社員たちは「自分の職場は働きやすい」と言う。

   私が取材した大手証券会社の社員も、本部で「上場支援」や「債券発行支援」に携わっていたが、残業はほとんどなく、労働法を含むコンプライアンスには非常に厳しく、30代前半で年収1,000万円はもらっていると明かした。

   本部勤めは一流大学卒で最初から配属されるか、過酷な営業現場を勝ち抜いて昇格するしかない。しかし昇格するには、現場で次のようなプレッシャーに耐え抜く必要がある。

(1)営業マン個人のノルマへのプレッシャー
売上額や手数料収入のみならず、会社の「推奨銘柄」をどれだけ売ってくるかも重要な指標だ。この銘柄は、顧客の利益より「自社が主幹事になった」など、会社の儲けを優先したものが多い。
(2)連帯責任というプレッシャー
ひとりの営業マンが達成できなければ、その分の数字は支店の他のメンバーが被ることになる。本来は助け合うべきだが、自分のノルマもある中ではなかなか厳しい。
(3)労働時間とサービス残業
多くの営業マンの出社時間は朝6時~7時台。時間外手当の対象にならない朝会議を経て、電話営業や訪問営業、夜の会議。場合によっては、上司との飲み会…と、帰宅時間は大体23時前後だという。
(4)上役からの「ツメ」というプレッシャー
営業マンの多くは月の目標のみならず、日々の訪問件数目標の達成さえも苦労する。そこで毎日の朝会議、夜会議で「なんでできないんだよ!」「お前のせいで進捗遅れてるんだよ!」「だからお前はダメなんだ」「明日はどうやるんだよ!?」「恥ずかしいと思わないのか」など日々否定的な言葉を浴びせかけられる。
新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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