剰余金はボーナスで分配? いや「社員旅行」に使う手もあるぞ

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一石三鳥の意図を見抜けなかった部長たち

   肝心の旅行はと言えば、バナナボート・アトラクション、トロピカル・レストランでのパーティ、現地のショーパブ・ツアーなどなど、大盛り上がりで、社員は皆大満足。

   参加した部長たちも、予想外の盛り上がりと楽しさに、完全に脱帽状態。創業20周年社員旅行は、大成功のうちに終了しました。

   旅行費用の報告を上げるとき、Sさんは「恐れ入りました。あんなに盛り上がるとは思いませんでした」と言うと、社長は笑いながらこう言ったそうです。

「カネで渡したところで感謝はその一瞬で終わってしまう。来年また決算賞与が出せる保証はないし、もし出せなければモラールダウンだって考えられる。社員にとっては見聞拡大の機会にだってなる。そもそも社員を喜ばせることができなくて、どうしてアミューズメント系のビジネスができるんだい?」

   それともうひとつ。新店舗の「アミューズメント・レストラン」のコンセプトを、社員たちをモニターにして調査するのが社長のウラのねらいだったとか。「おかげで次の店のコンセプトがハッキリ見えたよ」と言っていたそうです。

   決算剰余金を単に社員に配って終わりではなく、社員を慰労しながら勉強させ、さらに自社の次なるビジネスづくりにも役立てる一石三鳥。Sさんは「ビジネスを大きく発展させる人というのは、無駄な投資は決してしないものなのだな」と、心底感心したように語ってくれました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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