臨床心理士・尾崎健一の視点
「上司が明確な指示を出し、実行させる」という基本に戻る
A君は「みなし残業代」に対する認識を「裁量労働制」と誤解しているのかもしれません。「裁量労働制」は、成果が上がれば労働時間を含む働き方は労働者に任されています。しかし「みなし残業代」は労使の労働時間に関する取り決めであり、成果が上がればそれ以上働かなくてもいい、という制度ではありません。
課長は「自分の力で業績を上げてこい」と丸投げしていたのでしょう。だから目標を達成したら、それ以上のことはしなくてよいとA君は考えたのです。もしも残業時間が足りないのなら、課長から「○○を××するように」という具体的な指示を出して、それを実行させる必要があります。それもせずに「余った時間でさらに頑張れ」では、A君も嫌になってしまいます。A君の目標と報酬を引き上げて更に頑張ってもらうか、他のメンバーのサポートや教育に必要なタスクを課長が指示し、それを遂行してもらうのがよいのではないでしょうか。