定時で帰ったら「みなし残業代分くらい働けよ!」と叱られました

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
未実施の残業時間は翌月以降に繰り越すことができる

   残業代(時間外手当)は、毎月実施した分だけ支払うのが原則です。ただし労働者の同意を得て就業規則あるいは個別の労働契約で定める場合には、月の平均残業時間の見込みを踏まえ、毎月定額の「みなし残業代」を支払うことができます。とはいえ、実際にそれを超える残業が発生した場合には、会社はその分の残業代を追加で支払わなければならず、残業代の上限キャップとして使うことは許されません。これを怠ると、退職後に未払い残業代の請求訴訟を起こされるリスクが生じます。

   同様に、毎月の「みなし残業代」に相当する残業時間を大幅に下回った状態が続く場合、会社は労働者に未実施分の残業をさせることができます。みなし残業時間と実残業時間の差を翌月以降に繰り越せるとした判例もあります。運用例は少ないですが、この制度を導入する場合には労基署にあらかじめ相談し、就業規則または賃金規程の中で繰越について定め、社員にしっかりと説明した上で同意を得る必要があります。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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