前回記事で、仕事には「1.誰にでもできるわけではない仕事」と「2.誰にでもできるが他人の代わりにやる仕事」があると書きました。後者の仕事も社会的に重要であるし、これに喜びを見いだすことももちろんあります。
また、仕事はこのふたつにすっぱり分断されるわけではなく、1が多い職務の人もいれば、2が多い人もいます。それでも一般的には、1が多い人の方が、仕事が楽しかったり報酬が高くなったりしがちです。今回は、この「誰にでもできない仕事」の割合を多くする方法を考えてみます。
日本人が重用される海外はどこか
仕事をする上で重要なのが、スキルです。つまり「あなたは何ができますか?」ということで、このスキルが突出していれば「誰にでもできない仕事」ができます。
メジャーリーグで10年間欠かさず200本ヒットを打つスキルや、ワールドカップ予選でPKを真ん中に蹴ってゴールするスキルがあれば、間違いなく「誰にもできない仕事」ができます。
しかしここまで行かなくても、何かができる技術を持っている人は、その技術がどこで求められているかを知ることが大切です。いくら野球がうまくても、プロ野球リーグがない欧州に行けば高い報酬がもらえないように、自分の技術を売る場所は大切です。
逆に言うと、自分が今持っている技術がどこで高く買ってもらえるのか、どこに持っていけば「誰にもできない仕事」になり得るかを常に考える必要があります。
日本では日本語がネイティブに話せることに価値はありませんが、日本人が一人もいない土地に行けば「誰も持っていないスキル」です。そこに、日本語ネイティブが必要な仕事があれば、それはあなたにしかできない仕事になります。
複数のスキルを組み合わせて「誰も持っていないスキル」にする方法もあります。アジアでは、貿易に関する書類が作成できて、英語と日本語が話せる人はひっぱりだこです。
「自分にはなんの才能もない」ということはない
さらに、現地語も話せればさらに価値が上がります。会社はしかるべきポストを用意し、そこで結果を出せば、貿易部門の中核人材となり、「あなたしかできない仕事」を得ることができるかもしれません。
大手家電メーカーの技術者が、新たに市場参入する家庭用プラスチック製品メーカーに転職したり、電機メーカーで電池の開発をしていた人が、自動車メーカーで活躍したり。居場所がなくなったと思っても、それまでの経験を活かせば、新たな場所で再び花開くことができる場合もあるのです。
「誰にでもできない」と言ってしまうと、選ばれた特別な人にしかできない事のように思えるかも知れませんが、場所を変えたり組み合わせたりすることで生み出せるチャンスもあります。自分にはなんの才能もないから……、とあきらめてしまうのはもったいないです。
現状に不満がある人は、自分のスキルを「どこか別の場所に持っていけば」「なにか別のスキルと組み合わせれば」うまく行かないかということを考えてみてください。そうやって、自分で考え行動することを繰り返すことによって、「誰にもできない仕事」ができる人材へと成長する可能性が高まるのです。(森山たつを)