日米それぞれ無給インターンシップは違法となり得る
井上弁護士によると、インターンは「仕事そのものが(学生の)利益・勉強となっていること」が必要であり、「インターン終了時に正社員になると約束しないこと」が前提となるという。そのうえで「インターンに正社員の仕事をさせないこと」や「インターンが他の社員または雇用者から直接トレーニングを受けること」を守る必要がある。
また、スーパーマーケットの棚卸しや掃除など「雇用者の利益を得るためだけ」の仕事はインターンにやらせてはいけない、といった配慮も求められる。
しかし実態としては「給料や税金の支払いを避ける」目的でインターンを受け入れる企業も少なくないそうだ。WSJの記事でも「映画撮影所での無給インターンシップは労働法に抵触する」との判断を米連邦判事が下したと報じている。
日本人留学生が、米国でインターンシップを体験することは可能だ。ネット上には有給、無給のインターンシップをあっせんする業者も見られる。しかし現実はなかなか厳しいようだ。
米大学院を修了後、現地企業で有給インターンを経験した40代男性によると、業務内容は一般社員と同じだったが、賃金面では同等とはいかず、決して余裕のある生活を送れる額ではなかったという。
これが無給となれば、「どうしても経験を積みたい」と納得したうえでならよいが、スキルアップにつながらず企業側から「便利屋」として扱われたら元も子もない。
米国のみならず日本国内でも、労働基準法上の「労働者」とみなされる場合は、無給や最低賃金以下で働かせるのは違法行為となるそうだ。本橋一樹弁護士は弁護士ドットコムのコラムで、
「指揮命令関係の有無(仕事の依頼、業務従事の指揮等を断ることができるか等)、インターンシップ生の作業によって企業側が利益・効果を上げたか(パソコンで作成したデータなどを企業のものとして活用してしまう等)、といった事情を総合判断して、労基法9条の『労働者』とみなされるか判断される」
と説明している。