臨床心理士・尾崎健一の視点
どこまで実効性があるのか。細かく監視する弊害もある
すでにサボリや窃盗が相次いでいるならともかく、店内での行動管理のために監視カメラを使うことで、目に見える効果がどこまで期待できるでしょうか。スタッフの行動の質を高めるには、あるべき行動の中身について具体的に検討し、店長のマネジメントを変えた方が実効性が高いと思います。
なにより人間は、やるべきことを細かく規定しすぎたり、管理されすぎたりすると、それしかやらなくなります。創造的に動かなくなるし、モチベーションが上がらないので仕事の質の向上も望めません。未来工業創業者の山田昭男氏は、著書の中で「不正をしないように社員の監視を厳しくしていくと、絶対にその裏をかこうとするものなんだ。人間とはそういうものだ。しかも、不正を監視するコストがもったいないよ」と述べています。ただし一定期間の記録を分析し、結果を公表して改善に活かす目的であれば、一時的なカメラ導入は理解を得られるかもしれません。