東京と香港のギャップの大きさは計り知れない
香港は、すでにアジアの金融の中心地(ハブ)になっていますが、次はアートの取引でもハブを目指していく考えのようです。アートフェアと同時開催で、クリスティーズという海外のオークションが行われましたが、ここでも高額な絵画がオークションにかけられ、10秒で5000万円も値が上がるような光景が繰り広げられています。
フェアの前日には、香港の中環(セントラル)にあるギャラリーが一斉にオープニングセレモニーを開催しました。来場者には無料でシャンパンが振舞われ、壁には何千万円という絵がかかっています。このギャラリービルは、ワンフロアの家賃が2000万円くらいだといいます。世界一家賃が高い香港でも驚愕の値段です。しかし、絵画が1枚売れれば、元が取れてしまいそうです。
私が香港に行っている間に、猪瀬知事が「東京を香港のような金融センターにする」と言ったそうですが、東京と香港の間のギャップの大きさは、実際に目でみてみないと分からないと思います。
最近は「クールジャパン」を官民で売りだそうという試みがなされています。欧米のアート界も「クールな欧米アート」を「中国やアジアのとんでもない金持ち」に売ろうと、香港までやってきてトライアルをしているところなのです。
このトライアルが最終的にうまくいくのか、欧米の文脈のわかりにくいアートを中国の人が買うようになるのかは、まだまだ分かりません。しかし、すでに動いている規模は「クールジャパン」どころではなさそうです。(大石哲之)