他球団や大リーグへの移籍希望者は追わない
ドラフトで獲得した選手をチームの「顔」に育てる―――。日本ハムの過去10年のドラフト1位指名選手、なかでも高校生に注目すると、いかに中心選手として育ってきたかが分かる。
2004年のダルビッシュ有投手は入団2年目に12勝を挙げると、以後は毎年2ケタの勝ち星をマーク。2012年には大リーグにわたり、今では「日本のエース」に成長した。2006年1位の吉川光男投手は2012年に14勝と、才能が開花している。
野手でも、2005年1位の陽岱鋼選手は2012年のオールスターに選出される活躍、そして2007年1位の中田翔選手は「不動の4番」として本塁打王を狙う。
一方で、FAや大リーグ挑戦を理由に移籍を求める選手に対しては「去る者は追わず」が基本。ダルビッシュ投手だけでなく、かつてチームを支えた小笠原道大選手(現・読売ジャイアンツ)や森本稀哲選手(現・横浜DeNAベイスターズ)、田中賢介選手(現・サンフランシスコジャイアンツ3A)といった選手の流出で、一時的な戦力ダウンは避けられなかった。
だがその後、新たな選手がポジションを獲得し、穴を埋めている。今季、大谷選手が守る右翼は、昨季までは糸井嘉男選手(現・オリックス・バファローズ)の定位置だった。残念ながら現時点ではパ・リーグ最下位だが、直近では4連勝中だ。
巧みに人材を入れ替えつつ若返りを図り、ほぼ毎年Aクラスと実績を残す。育てながら勝つ組織づくりの成功は、球界に限らず他の業種でも参考になる部分が多いだろう。