業務に関係のない過酷な研修で「社員の精神力」を鍛えようとする日本企業

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パワハラ基準の「過大な要求」「精神的な攻撃」に当たらないか

   厳しい研修には賛否両論ある。ネット掲示板には「体験入隊なんて役に立たない」「無能な上司こそ自衛隊に行くべき」といった主張が見られる。一方で「学生の頃にやっておくべき」「人生経験としてはよいのでは」と肯定的にとらえる向きもあった。

   しかし研修の内容は、どうみても業務に直接関係のないものばかり。参加を拒否する人がいてもおかしくない。J-CAST会社ウォッチでも、業務に無関係な内容の研修に反発する女性会社員の声を紹介したところ、大きな反響があった。

   この研修は、駅前や交差点で大声で自己紹介させられ、「自分を捨てきれていない」と判断されると人前でサルやゴリラ、芸人のモノマネをさせられるという内容。読者からは「パワハラと洗脳以外の何物でもない」など、会社に対する批判が圧倒的に多かった。

   厚生労働省の「パワハラ類型」に照らし合わせても、研修の内容には怪しいものがある。例えば類型では「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制」は「過大な要求」というパワハラとしているが、自己紹介やモノマネはこれに当たるのではないか。

   また、「業務上の合理性なく、能力や経験とかけはなれた程度の低い仕事を命じること」は、「過小な要求」というパワハラに該当する可能性もある。受け取り側の立場からすれば、名誉毀損、侮辱などの「精神的な攻撃」とすら言えそうだ。そもそも「精神力を鍛える」ことを研修の目的に組み入れること自体、困難を精神力で乗り切ろうとする日本企業の後進性を表しているのかもしれない。

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