日本の労働組合が「第二人事部」なわけ

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労働市場を流動化し「労使の目的地」を切り分けるべきだ

   サービス残業についても同じで、もちろん組合的にはきっちり払ってもらいたいのはやまやまだが、何か他の予算を削ってまで残業代を請求できるかというと、普通はしない。そう、まさに東京新聞の記事にある、すかいらーく社の労組の対応そのものだ。

   対策としては、労働市場を流動化して、労使の目的地を切り分ければよい。会社は株主への分配を追求し、労働者は労働環境の改善と労働者への分配を厳しく要求する。双方の利益が一致した部分では力を合わせ、そうでない部分については真剣な交渉をし、決裂すればお互い実現に向けた行動に出るようにする。

   そうすれば労働者は経営のために命を差し出す必要もなくなるし、企業横断的な労組を作ればストも張れるだろう。

   日本では年間300人前後が過労死し続けている。これは労災認定された数字だから、実際には氷山の一角に過ぎないはず。にもかかわらず、どの労組もスト一つ打たないし、問題解決のために抜本的な策を講じたという話も聞かない。

   労使が「組織の維持=雇用の死守」という共通の目的を共有するとき、実はもっとも重い負担を背負うのは、その組合員自身なのかもしれない。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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