売上以外は「非公開」 そんな社長に社員はついてこない

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会社の方針に説得力を持たせる「見せる化」

   A社長が売上以外の経営指標を非公開にしているのには、理由があります。同社の経費関係には、節税を目的としたオーナー家がらみのものが多いからです。

   社員への説明がしにくいとの判断から、これまで社長の意向でフタをしてきました。私は損益実態の社内開示を提案してきたのですが、これといったキッカケがつかめないまま社長はなかなか首を縦に振ってはくれません。私はもうチャンスはここしかないと思い、腹を決めてこう指摘しました。

「理由もなく他社に追随する必要はありません。でも、社員が賃上げを希望する以上、社長もできない理由を明確にしなくてもいいのですか。転職を考える者まで出始めているのなら、ここまで利益が上がったら給与を引き上げるなど、もう少し納得性の高い説明をする必要があるはずです」

   私は「会社の方針に説得力を持たせるのは、経営者の言動の裏付けを開示する『経営の見せる化』ですよ」と提言すると、社長は「なるほど。製造現場の『見える化』はよく耳にするけど、経営には『見せる化』が必要というわけか」と、ようやく耳を傾けてくれることになりました。まずは各部長とともに開示データを整備して、上期末に説明会を開催する予定です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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