「給与だけでは生活できない」と夜の副業 どうしてもダメなのか

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   大分市の女性職員が、夜間に飲食店でアルバイトをしていたことが明らかになり、市役所が謝罪する事態となった。「給与だけではやりくりできない」が理由だったという。

   公務員の副業は原則として認められない。仮に本業に支障が出ず、上司や同僚に迷惑をかけなかったとしても、「生きるため」にアルバイトをするのはやはり許されないのだろうか。

地方公務員法38条で「営利企業等の従事制限」の規定

   大分市役所人事課に電話取材したところ、市民部に配属されていた19歳の女性事務職員が、夜間に同市内の飲食店でアルバイトをしていたという。女性は正規の職員として採用されていた。

   2012年9月~13年2月の間に週1回、客に酒をつぐ仕事で月6~7万円ほどの収入があった。市によると女性は、「給与だけではやりくりできなくなった」と話したという。「現時点で処分内容は検討中」と、人事課では説明する。

   一部報道によれば、女性の月収は手取りで10万円、実家にも仕送りをしていたようだ。大分市は職員の給与状況をウェブサイトで公開している。女性の年齢からみて、高校卒業後に市役所での勤務を開始したと思われるが、2012年度の「一般行政職・高校卒」の初任給は14万8900円となっている。この額から税金や保険、年金などが引かれ、さらに実家への仕送り額がかさめば、確かに生活にゆとりが持てそうもない。

   地方公務員法38条には「営利企業等の従事制限」という規定があり、職員は「任命権者の許可を受けなければ」営利を目的とする私企業などで兼業に従事してはいけないとされている。

   大分市役所の女性職員ケースでは、上司に内緒で夜のアルバイトをこなしていたようなので、同法に抵触する可能性が高い。法的にはアウトだが、低収入でとても生活できないという本人の声に、インターネット上では同情が集まったのも事実だ。

「副業せずに済む給与体系に改めるべき」

   報道された「手取り10万」のインパクトが強かったのか、ネット掲示板には「たったの10万で副業禁止するほうが酷ってもんだろ」「事情が事情」と理解を示す声や、仕送りを子どもから受けている「実家の親」に向けた批判もある。一方で、実家への送金を減らせばよかった、違法行為は認められないとの正論も書き込まれた。

   週1回のアルバイトで業務に支障が出るとは思えない、との指摘もある。報道によれば「遅刻、欠勤はなく勤務態度は真面目だった」というし、上司も気づいていなかったくらいなので、実質的に影響はなかったのではないか。

   もちろん法に触れる行為が許されるわけではないが、低収入で八方ふさがりの状況下で、本業で迷惑をかけない範囲であれば副業を手掛けても構わないのではないかと考える向きもある。法で縛るなら、副業せずに済む程度の給与体系に改めるべきだとの提案も出ていた。

   公務員の副業はしばしば世間を騒がせる。大阪府教育委員会は5月2日、府立高校に勤務する29歳の教諭が2012年10月~13年4月の期間「勤務時間外に性風俗関連特殊営業を営む店に勤務し、収入を得ていた」として停職6か月の処分を下した。教諭は依願退職したという。

   もっともアルバイトをした理由は、買い物により借金がかさみ、その返済のためだったと報じられているから、こちらのケースは「同情の余地なし」といったところか。

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