「妻は専業主婦」の昭和上司では配慮も期待できない?
また、大きな組織ならともかく中小企業では、従業員がひとり欠けただけでも仕事のやりくりをカバーする人材を見つけるのは簡単ではない。
この点について森消費者相は、休業者の穴埋めとして「例えば地域の企業グループが『人材バンク』をつくり、国の補助金などで登録者の身分保障をしながら、欠員が出た際にはそこから代替要員を派遣してもらう」との案を披露している。学校教員が産休を取った場合、代わりに臨時教員を採用するイメージだという。
また「育休制度を活用している企業には助成金や減税などでインセンティブを高めていきたい」とも言及した。しかし、そのような支援策も「世間の価値観」が変わらないことには回っていかないという冷ややかな見方も多い。
特に男性は育休制度をほとんど活用できていないと言ってよいが、その背景には「育児は女の仕事」「男が育休を取ったら出世できなくなる」といった価値観があるのが現実だ。
厚生労働省によると、育休取得率は2011年度で女性が87.8%なのに対して男性は2.63%と低水準にとどまった。過去との比較では増加しているが、割合で考えると100人に3人弱しか取得できていない計算になる。
群馬県労働政策課の担当者は「企業にとって女性が貴重な戦力である今日、育児の負担を夫が分かち合うのが重要」として、男性の育児参加の必要性を強調する。しかし「妻は専業主婦」「子育てに実家の支援」が当たり前だった昭和の時代に子育てを済ませた経営者では、平成の状況に対応した配慮も期待できないという見方も根強い。