臨床心理士・尾崎健一の視点
金銭だけでなく「自由闊達な議論ができる場」の整備も重要
仮に転職して200万円アップしたとしても、それが実際の働きや貢献度に見合っていなければ、その企業としても長く雇っておくことはできません。優秀な人材を引き止めるのは短期的な金銭的報酬だけとは限らないと考えて、制度設計や環境整備をすべきです。仕事の「やりがい」を高めるために、将来性ある仕事や責任の重い仕事、スキルアップにつながる仕事を任せてはいかがでしょうか。将来のマネジメントにつながる経験をさせてもいいと思います。
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、組織内の人間関係の質が高まると、思考や行動の質が高まり、成果があがるという「組織の成功循環モデル」を提唱しています。同僚との人間関係に問題がないか注視しつつ、他部署や幹部との意見交換の場を設けるなどして、自由闊達な議論ができて自分の意見が反映される場を整備すると、仕事への動機や生産性があがると考えられます。