「やりたいこと探し病」をこじらすよりも、3年働いて可能性を広げよ

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22歳の時点で一生の仕事を見つける必要はない

「その仕事を一生やり続つづける『天職』にできないと、仕事をやる意味がない」

   この考え方は、実は「終身雇用」の弊害です。新卒というたった一度の職業選択チャンスにおいて、一生分の職業マッチングに成功しないといけないという意識です。

   もちろん現実には、そんなのムリに決まっています。団塊の世代は職業マッチングではなく就社・社畜意識でいることにより、この問題をクリアできていました。しかし個人の職業意識が喚起されてしまった今、就社・社畜意識が持てない人々にとって、新卒でのミスマッチングは深刻な問題を引き起こしているのです。

   私は、22歳のときに一生の仕事を見つける意識は必要ないと思います。そんなことを考えて人生の選択肢を狭めてしまうのは、なんとも悲しいことです。就職した最初のキャリアは、希望と違う仕事かもしれません。でもトレーニング期間程度で考えればよいのです。

   希望と違う仕事のなかでも、身につくことがたくさんあるはずです。そして3年程度経ったら、また自分のなかでの考えを整理して、方向性を修正していけばいいのです。一発で決めようとしない。3年毎に方向性を見なおして、徐々に夢に近づけていけばよいのです。不安に駆られて自分探しを続けるより、3年分の実力をつけて、次に何ができるかを探ろうとする方が、可能性がずっと大きく広がります。

   22歳の時点で「やりたいこと」と「将来にわたる所属」をマッチングする硬直的なキャリアではなく、3年毎に可能性を広げていくキャリア。私は後者のようなスタンスが、これからのキャリア形成、キャリア教育においては必要だと思います。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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