銀のさら、マクドナルド… CMの過剰演出を暴露する事案が続々

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   日本でも話題になっていた宅配寿司「銀のさら」の動画広告が、海外でも注目を集めている。「CMの秘密を暴く」と題された動画は、私たちが普段視聴するテレビコマーシャルが、いかに演出に塗り固められたものであるかを伝えるパロディーだ。

   アパレルブランドの秋冬向け新商品のCMは真夏に撮影されるため、人工雪が暑さで溶けてNGの原因になる。楽しそうに駆け回る犬は、実は生肉に釣られて走っているだけ。長時間の撮影に耐えられるよう、似たような犬を何頭も用意しておく。

   さらに、主演女優がわざわざ台詞を覚えずに済むように、スタッフの衣服に書かれていたり。皺だらけの彼女の顔や太った体型は、編集段階でレタッチ(補正)される。口うるさい広告主との打ち合わせではコーヒーにウイスキーを入れ、ほろ酔いで盛り上がった勢いで企画を通す――。そんなシーンが続く。

商品や広告の親近感や信頼感を高める工夫

CM制作の裏側を暴露する映像自体がCMになっているという入れ子構造
CM制作の裏側を暴露する映像自体がCMになっているという入れ子構造

   肝心の「銀のさら」は、最後に登場する。演技に疲れた子役たち、怒って楽屋から出てこない女優、態度の大きなハリウッド俳優…。彼らに宅配寿司を見せればすぐに機嫌を取り戻し、コマーシャルの演技に集中してくれる、というオチだ。

   広告主自らが、客をあざむく(?)ために行っている演出を面白おかしく伝える。そんな自虐的なユーモアが外国人に受け入れられたようで、数多くの海外マーケティング媒体に取り上げられている。

   こうした広告制作の裏側を明かす手法は、最近流行っているようだ。昨年、カナダのマクドナルドは、店頭や街中で張り出されるポスターに映ったハンバーガーが、どうして実物よりも美味しそうに見えるのかを紹介した動画をYouTubeで公開した。

   マーケティング担当者自らがレポーターを務め、宣材写真を撮影するスタジオに出向いた。そこでは、フードコーディネーターによって食材が調理され、プロのカメラマンが小道具で、チーズのとろける加減を調整しつつ、撮影を行い、最後にグラフィックデザイナーが画像を補正する一連が紹介されている。

   銀のさらは、自虐的なコメディーとして演出をさらけ出すことで、宅配寿司にユーモアさや親近感を与えている。一方のマクドナルドは、ドキュメンタリーのようにリアリティーの伝わる映像でさらけ出すことで、身近な広告に信頼感を与えている。

   同じ「さらけ出し」でも、企業や商品のイメージが異なれば、伝えるトーンも変えるべきである。企業による広告宣伝が消費者の厳しい目にさらされる現代において、その心理を逆手に取ったこの手法は巧い。そして「なかなか見ることのできない裏側を見てしまった」体験は、「思わずひとに伝えたい」という動機を呼び起こすだろう。(岡徳之


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