精神障害者の雇用義務化が閣議決定 職場づくりのポイントとは?

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   障害者の法定雇用率が、今年の4月1日から引き上げられている。民間企業における基準数値は、常用雇用者の2.0%。50人に1人の割合で障害者を雇用しなければならず、これを守れない企業は納付金を支払われなければならない。

   また、4月19日の閣議では、雇用義務の対象となる障害者を拡大する法改正を行うことが決まっている。これまでは身体障害者と知的障害者がその対象だったが、これに精神障害者が加わる。改正法の施行は2018年4月の予定である。

「人とのコミュニケーション」が求められる仕事は苦手

誰もがその人に合った仕事を希望するだけできればいい
誰もがその人に合った仕事を希望するだけできればいい

   うつ病や統合失調症などを患う精神障害者は、これまで雇用義務の対象とはなっていなかったが、法定雇用率の算定対象に組み入れることは認められていた。

   厚生労働省によると、2012年度に全国のハローワークを通じて就職した障害者は6万8321人で、3年連続で過去最多となっているが、このうち精神障害者は就職者の35%を占めている。前年比で26%もの大幅な伸びだ。

   精神障害があると認められた人に自治体が交付する「障害者手帳」の取得者も、2011年度で672万人と、10年前よりも約3割も増えている。急増の理由について、専門家はNHKのテレビ番組で「手帳を取得して障害者雇用の枠での就職を目指す人が増えていることが主な要因」と答えていた。

   精神障害者の中には、手帳を取らずに生活している人も数多くいる。雇用の受け皿となっていたのは、精神障害者が苦手とする「人とのコミュニケーション」が比較的少ない製造業だ。

   その製造業の衰退で職場が減っているが、精神障害者は接客などのサービス業で働くことが難しい。そこで一般企業における「障害者雇用」枠での就職を目指すべく、やむなく手帳を取得するケースが あるようだ。

   それでは、具体的にどのような業務が向いているのだろうか。リクルートの障害者就職支援サービス、アビリティスタッフィングでは「事務職」というカテゴリーに絞り、企業の精神障害者雇用をサポートしているという。

定型的業務を切り出して雇用を生む

   リクルートの川上祐佳里マネジャーによると、障害者には障害の種別や程度に応じた採用のポイントがあるという。

   身体障害者は一部の行動に制限があるものの、基本的に健常者と同じ仕事を正社員として行うことが可能な人も多い。知的障害者は可能な業務が制限されるので、業務を細分化することがポイントとなる。

   精神障害者は、能力はあるが、認知機能障害などにより臨機応変な判断を求められたり複雑な優先順位づけをしたりすることが苦手なケースが多い。また、ストレスを強く感じ疲れやすいため、短時間勤務を望む人が多い。

   そこで、うつ病と統合失調症を中心に症状が安定し働ける状態にある人を対象に、「定型的な事務業務」かつ「時間調整のできるポジション」での活用を企業に提案している。

「採用企業からの反応は良好で、特に問題なく『普通に働いてくれていますよ』というものが多いです。障害者雇用のリピーターも増えました。確かに『何かやっておいて』みたいな任され方は苦手で、業務の指示を明確にする必要がありますし、勤務時間を柔軟に対応することが求められたりもします。どうすれば障害をお持ちの方と企業、双方が働きやすい職場にできるのか、そこをサポートすることが大切だと感じています」

   法定雇用率を達成している企業は、東京都内では32.2%。残りの企業は未達成だ。障害者を受け入れることで、ギスギスした職場の雰囲気が和らぐようになり、「社員全員が優しくなった」という声もある。川上さんはこの事業を通じて、障害者に限らず「すべての人がいきいきと働ける世の中を作る」ことを目指したいという思いを強くしているそうだ。

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