ルールの徹底で「チームの問題点」をあぶりだす
現在、CROOZのオフィスでは約450人の社員が働いている。ほとんどの社員は22時までには退社するが、トラブル対応や納期スケジュールなどの関係で、どうしても22時以降も残業を続ける社員も全体の1割くらいは存在する。
人事では対応策の一つとして、22時以降の残業チームの一覧を月次の役員会に提出し、人事がそのチームへのヒアリングを通して改善策を模索する。「残れまテン」が果たしている本質的な役割は、実はそのチェック機能にあるようだ。
「残れまテンが守れないのは、チームの中に何か問題があるから。会社として人員が足りないとか、ディレクターのプロジェクト納期の設定が甘いといった要因ですが、チームが内包している問題点が、ルールによって視覚的に分かるようになる。問題点が目に見えればそれを改善してあげられるきっかけにもなります」
制度を陳腐化させないためのチェック機能は、3年目の今も変わらない。社内にTVシステムのモニターを活用し「ただいま、21時50分です」というアナウンスを流し、持ち回りでオフィス内を巡回し、「1分前ですから、退社してください」と伝える。
「社員数が20、30人のときに作った人事制度が、450人に増えた社内で本当に必要なのかどうか? そうした見直しは常にやるというのが、本当に大事だと思います。せっかく作ったのだからとダラダラと残しておくということは、当社の人事制度に関してはありません」
この他にも同社では、アルバイトスタッフも投稿できる「意見箱」を社内システムの中に置いたり、無駄な会議の廃止を意識したスタンディングテーブルを設置したりするなど、業務改善のユニークなしくみを続々と作っている。TVシステムのモニターに「陰の功労者」の同僚の活躍を表示させる「すごイイネ!」ボタンなど、エンタメ性が豊かなところも特長だ。
伊藤秀範(月刊「人事マネジメント」編集部・記者)