最近、多くの日本企業が海外に拠点を置いていますが、現地で行われているマネジメントにはさまざまな問題があると聞きます。その原因は、日本人と現地の人との「働き方のギャップ」にあるようです。
ある会社のアジア海外拠点では、日本人の駐在員が多くを占めます。彼らは日本で優秀な成績をおさめたエリートたち。当然ですが、闘志に燃えてバリバリ働く若い人たちです。
現地採用の日本人も「すぐに辞めてしまう」
彼らは海外でも、朝早くから夜中まで必死に働きます。まさに日本のビジネスマンといった感じですが、それでも仕事は回っていきません。
そこで、現地のスタッフや現地採用の日本人の手を借りることになりますが、その拠点のマネジャーによると「現地採用の日本人はすぐに辞めてしまう」のだそうです。
現地採用の日本人は、単にその土地で職が得られればOKという人も多く、愛社精神があるわけではありません。なのに彼らは、同じ日本人だからということで仕事のやり方を日本式にされ、長時間で過酷な仕事を強いられます。
しかも給与は駐在員の半分くらい。その結果、ほとんどがすぐに辞め、駐在員だけで頑張るはめに陥ります。じつは日本人ならまだマシで、現地の人はもっと短期間に辞めてしまいます。もちろん、マネジャーは問題点に気づいていないわけではありません。
・サービス(賃金不払い)残業がある
・駐在員並みに頑張っても、昇進できるキャリアパスが明確ではない
・給与が安い(給与格差がある)
これではモチベーションが上がるはずもありません。精神論的な日本企業のやり方を現地でも展開し、現地から総スカンを食らっているわけです。
もちろん、企業側としては、日本でのやり方をそのまま持ち込んだ方が効率はよいです。海外進出の立ち上げ期には日本の文化そのままでやったほうが簡単で、しかも少人数でできます。しかし、その働き方でやる気が起きるのは、本国に帰って出世する未来が見える駐在員しかいないでしょう。