「電話の受け答え」が苦手な新入社員が増えていると、AERA(2013.5.6-13号)が取り上げている。記事に登場するアルバイトの女子大生によれば、「サークルの男友達とはLINE、大学の教授とはメールでやりとりする」ことが多く、「受話器から聞こえる男性の低い声が怖い」のだそうだ。
その理由は何なのか。もし増加傾向が事実なら、新たな要因があるはずである。しかし、メールはずっと前からあるし、記事で考えられるのは「LINE」のみ。結局、好きでもない男性に耳元で囁かれるのが嫌いなのは、昔からの話ではないのか。
リアルタイムな対応が必要。マナーもあるし…
Q&AサイトのOKWaveにも、以前から「電話恐怖症」を訴える人たちが多くいる。典型例のひとつであるyondapandaさんの相談は、2001年6月に寄せられたものだ。
「会社での電話を取ったときに、他の人に取り次ぐときなど名前などが聞き取りにくく、聞き取れても名前を覚えられません。メモを取ろうとするのですが、話と同時ではなかなかできず、大げさですが電話に出るのが怖いです」
電話を取るのは、確かに面倒なことだ。耳から入ってきた音声を正確にメッセージに変換し、それをメモして、ときには他人に伝達しなければならない。
電話をかけるのが好きな人は「受け手が聞き取って当然」と考えているので、相手に負担をかけている意識がない。話す内容が整理されていないことも多く、何を伝えるべきなのか理解しにくかったり、言葉が聞き取りにくかったりする。
リアルタイムで臨機応変の対応も必要になるし、相手が偉い人かどうかで相づちや敬語などのマナーも入ってくると混乱してしまうのも分かる。男性の声が怖いのではなく、無神経なおじさんとの通話が不快なのではないか。
その点、メールは送り手が用件を整理してテキストで送ってくれる。いつでも読み返すことができるし、そのまま転送もできる。メール全盛時代に、電話を取ることがいよいよ非効率に感じられて、面倒で耐えられなくなった人が増えてきた可能性はあるのかもしれない。