遊んでばかりいるように見えた社長が、経営危機を救うこともある

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   銀行員時代に付き合いがあったA社、B社の2人の社長。私が退職後、お目にかかる機会はなかったのですが、たまたま最近両社を知る地元の方から話を聞いて、会社が置かれた状況の違いに驚かされました。

   両社ともにリーマンショックで業界内に激震が走り、経営危機に陥ったとか。その結果、A社は大手企業に買収され倒産は避けられたものの、社長を含め社員のほとんどは職を失うことになったそうです。

まじめ社長が思い悩む姿に、有力社員が続々流出

目の前の仕事だけ見ていては社長業は務まらない
目の前の仕事だけ見ていては社長業は務まらない

   一方のB社は経営危機をきっかけに、他の業界へのOEM方式での機械製造に転身。売り上げもあれよあれよ言う間にリーマン前を大きく凌ぐようになり、数年後の上場も視野に入っていると聞きます。

   A社とB社の社長のいちばんの違いは、ひとことでいうと社長の「社交力」でした。

   金型製造会社A社の社長は、まじめな技術者タイプ。細かい点まで気配りがあり、新製品の開発部門から製造工場まで、あらゆる部門のチェックに余念がありません。取引先への同行訪問も積極的に行なっていました。

   私が会社を訪ねると、いつも事細かに会社の現状や取引先との関係を話して聞かせてくれ、銀行にとっては本当にありがたいタイプでした。

   ただ、スタッフとの雑談では「まじめすぎて息が詰まることもある」という声も聞かれました。銀行の融資先が集まる経営懇話会でも、旅行や会合にはほとんど欠席。人が大勢集まるような場所は「あまり得意じゃない」のがよく分かりました。

   A社が受注激減に見舞われたとき、まじめで仕事熱心な社長は「どうしたらいいものか」と深く思い悩んでしまったようです。その様子を見た側近や有力社員は「万策尽きた」という感を強くしたのか、次々を会社を辞めてしまい、会社の技術のみが買われていく悲しい末路をたどってしまいました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト