全員が進んだ「最終面接」の結果は…
逆面接のもう1つのポイントは「合否判定」の方法である。面接を受けるのは「株式会社ゆめみ」のほうであるから、合否判断を下すのは面接官の学生である。
「私が面接官である学生の合否を決めても面白くはありませんから、今回の逆面接では、学生がゆめみという会社に合格を出せば、その学生は最終面接に進めるという形にしました」
結局、不合格を出した学生は一人もおらず、全員が「自らの意思」で最終選考へと進んだ。「半々ぐらいで合格、不合格に分かれるのかな、と予想していましたので、全員が合格というのは、ちょっと意外ではありました」と松田氏。
逆面接の「合格者」は、通常ルートの1次、2次面接という段階を踏まずにいきなりの最終面接となる。しかも今度は面接する側からされる側に立場が変わる。学生は大きなギャップを感じたことだろう。
さて、最終面接の結果は――。結論から言えば、現時点ではこの「逆面接」ルートからの来春入社予定の内定者は出ていない。
「今回、内定者は出ませんでしたが、この制度作りの最初の目的でもあった元気でチャレンジングな学生と出会いたいという部分では、手応えを感じました。どの学生も受け身というタイプではなかったですね」
今回はエンジニア職の募集だったが、これがもし営業職であったなら、最終面接での結果も違っていたかもしれない。「募集職種によってはいい採用手法であると思います。それが証明できたのも、今回の収穫です」。松田氏は来年度以降の改良に自信を示している。
伊藤秀範(月刊「人事マネジメント」記者)