5月16日のNHK「クローズアップ現代」で、警察官の不祥事が取り上げられていた。番組では大阪府警の警察学校の教官が、新人警察官に厳しい言葉を連発するシーンも映し出されていた。
「常に正しくあれ。自分が正しくなかったら人を正せない」
「おまえらはもう休日も祝日も、ずっと警察官なんだぞ」
市民の安全を守る公務員として、自覚や規律を高めることは重要だ。非番で起こした問題でも、大きく報じられることも知っておく必要がある。しかし「常に正しく」という言葉が過剰なプレッシャーになり、かえって不祥事のリスクを高めることにも注意すべきだ。
管理業務で忙殺され、うっかり証拠を紛失するケースも
証拠ねつ造で有罪判決を受けた元警部(55)が、インタビューに答えていた。自分が管理していた証拠(タバコの吸い殻)の紛失に気づいたが、上司に報告すると仕事が回らなくなると考え、他の吸い殻を忍ばせた。
「このタバコがあればすべてがうまくいく」
背景には、不祥事予防の「改革」が逆効果になった側面がありそうだ。現場の管理職に管理強化が求められ、書類のチェックや署長・副署長への報告などに忙殺されるようになり、その挙句に、証拠紛失の隠ぺいという不祥事を起こすという皮肉な状況が浮かび上がる。
番組放映後も、警察官による不祥事が相次いで報道され、さらに重たい気分になった。
自転車を盗んだ疑いで男を取り調べた男性警部補(57)が、男がホームレスだったにもかかわらず「都営住宅に住んでいる」とする虚偽の捜査報告書を作成。多忙な中で男の供述のままに調書を作成し、「身元確認が不十分だったことを上司に怒られ」ないように偽装工作を思いついた。
別の男性巡査長(35)は約6年半にわたり、23事件の被害届や調書など137点を処理せずに自宅や職場の机に隠していた。調べに対し「書類作成が遅くなり、周囲の目が気になり隠してしまった」と説明したという。