採用者の「メンタルヘルス」状態 どうやったら見破れる?

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   メンタルヘルスを崩しやすいかどうかは、人によって大きく異なる。企業の採用担当者にとって「メンタルヘルス不全やその予備軍を採用したくない」というニーズは、あまり表立ってはいえないが、密かに重大な課題になっているようだ。

   ある会社では、数年前の中途採用者からメンタルヘルス不調者が続出したことがあった。それに懲りた各部署からは「精神疾患のない人を寄こして欲しい」と要求されているが、採用担当者は「どうやったら見破れるのか」と頭を抱えている。

「健康状態は良好」と書いた人が数ヶ月でうつ休職

――中堅メーカーの人事担当です。円高是正でようやく業績が上向いてきており、中途採用を再開しようと思っています。

   ただ、採用を希望する部門の採用要件用紙には、必要な経験やスキルに加えて、

「健康であること。特に精神疾患のないこと」

と書かれてくることが多くなり、頭を悩ませています。というのも、数年前に採用した中途採用者の中から、メンタルヘルス不調者が続出したことがあるからです。

   ただでさえ人員を制限し1人当たりの業務が増大しているのに、休みがちだったり休職したりでは、採用しても余計に負担が増えるだけです。

   とはいえ、採用の段階で見破るのは難しいのが現状です。エントリーシートの健康状態の欄に「良好」と書いた人が数ヶ月で休職した後で、「実は前の会社でもうつ病で休職したことがある」と打ち明けられたこともありました。

   そのときは「良好なんてウソじゃないか!」と裏切られた気分になりましたが、本人は「入社時点では寛解していた」つもりだったのかもしれません。

   「メンタルヘルス不調を経験した人は一切採用しない」とまでは言いませんが、これまでの経緯からすると、せめて欺かれる数は減らしていければと思います。何かいい方法はないでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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