労働基準監督署にうまく動いてもらうための3つのポイント

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労働審判など別の手段で解決した方がよい問題もある

   2つめのポイントも、これと密接な関係があるが、労基署には「違法行為の証拠を持って垂れ込もう」ということだ。違法行為が確認できる資料もないままに臨検(立ち入り調査)すれば、立ち入った会社から「事業活動が阻害された」などと批判を浴びるおそれもある。

   特に個々の会社の内情やそれまでの経緯によって判断が難しい「名ばかり管理職」や「不当解雇」といった問題は、労基署での解決は困難と考えてよいだろう。裁判より簡易な手続きで個別労働紛争を解決する労働審判の利用などをお勧めしたい。

   逆に監督官が得意な分野は「賃金不払い」で、証拠があれば対応も早い。タイムカードや給与明細書、就業規則、業務日報、業務指示のメール、経営者や上司との会話録音などを揃えて、ぜひ労基署に情報提供してもらいたい。

   なお、証拠を重視する労基署では、「匿名の情報提供」よりも「氏名と連絡先を明らかにした告発」が優先的に対応される。匿名メールを受け付ける体制もあるが、その場合も信憑性が感じられるもので、かつ悪質なものから対応することになる。

   3つ目のポイントは、緊急度や重要度の高い問題であることをアピールすることだ。逆に言うと、個人的に腹に据えかねることでも、違法行為の度合いが悪質でなかったり、緊急対応が必要でなかったりするものには、なかなか着手してもらえないと考えた方がいい。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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