現地では「中長期的には成長する」と確信しているが
私が訪れた5月1日のメーデーは、日中デモ隊がジャカルタの目抜き通りを封鎖し、交通が麻痺状態に陥りました。あまりの惨状に、大統領が来年からメーデーを国民の休日にすることを宣言しています。
デモの参加者たちは、国民の反発を買うことを政治家ができないのを、よく知っているのかもしれません。デモをすれば賃金が上がるという成功体験と、それを先導する市民組織の存在により、頻発するデモによって数日間の操業停止に追い込まれている日系企業の工場がいくつもあります。
事業計画を根本から考え直さなくてはならない賃上げに加えて、デモで操業停止になる。大企業であれば持ちこたえられますが、中小企業は撤退せざるを得ないところも出てきています。
このように、ジャカルタではあちこちに急成長の歪みが生じており、大統領選挙を前にしてそれが表面化しつつあります。
現地の多くの方は「中長期的には成長する」という事を確信しているのですが、目先の2、3年、特に大統領選挙後の動きには要注意であると言っています。良くも悪くもより一層注目を集めそうなこの国について、私も注視していきたいと思います。(森山たつを)