社会保険労務士・野崎大輔の視点
ドレスコード化は「不利益変更」に該当するおそれあり
ドレスコードを決めるべきかどうかは尾崎さんの指摘の通りですし、ルール化しなくても慣行として対応できるとも思うのですが、今回は「公式ルールとして決める場合」に絞って解説します。ドレスコードの規定化は、「服装の自由を奪われる精神的苦痛」などを伴うため、労働者にとって不利益を伴う変更に当たるおそれがあります。したがって、会社が勝手にルール化して社員に従わせることはできないと考えた方がよいでしょう。
就業規則を変更する場合には、以前も説明したとおり、「使用者は事業場の過半数代表の意見を聴取しなければならない」とされ、不利益変更が妥当と判断されるためには、内容や手続きなどが合理的なものでなくてはなりません。なお、労働者にとって有利に定められた個別の雇用契約の内容は、就業規則に優先しますので、これまで「服装自由」で締結してきた社員に対しては「服装は就業規則に準ずる」という内容で締結しなおすか、そういう内容に読み替えるよう通知しておく必要があると思います。