従業員に横領されて泣かないために オーナーが守るべき5つのポイント

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勤務初日に「当たり前だが重要なこと」を伝えているか

   毎度おなじみだが、店舗のオーナーや経営者は以下の点をセルフチェックしてほしい。

1.採用時に「やるべきこと、やってはいけないこと」をビシッと伝えているか。ルール違反には厳しく対応しているか

   わざわざ研修をしなくてもいい。勤務初日に5分でいいから時間を取って、「現金や個人情報の扱いはくれぐれも慎重に」「勤務時間は厳守すること」「無断欠勤は厳禁」など、当たり前だが重要なことをきちんと伝える。

   簡単な誓約書に署名させるのも効果的だ。そのときに「現金や商品を盗めば必ず見つかる。見つけたら容赦はしない。間違ってもバカなことは考えないように。カネに困ったら相談してくれ」と付け加えておくと、不正の抑止力を高めることができるだろう。

2.売上金や高額商品の扱いを、バイトや雇われ店長に任せきりにしてないか

   任せれば楽できるし、チェックのコストも削れるが、万一横領されれば一気に吹っ飛んでしまう。特にベテランなど「信頼できる」スタッフがオールマイティになってしまっている状況は要注意。経営管理においては「信頼しても放任しない」が鉄則だ。

   小企業のオーナーであれば「経理や在庫管理は絶対に他人にはタッチさせない」のが理想。スタッフに任せる場合は、抜き打ち点検もうまく組み込んで「見られている。不正は見つかる」という緊張感を高めたい。

3.適切なセキュリティ投資を行っているか

   小企業ではあまりコストを掛けられないだろうが、レジ回りなどには防犯カメラを設置することも必要だろう。スタッフには設置場所とその趣旨を採用時にきちんと説明しておく。

   ただし更衣室や休憩室など、スタッフのプライバシーが損なわれる場所への設置はNGなので注意が必要だ。その他、レジや経理システムへのアクセス制限なども検討したい。

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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