従業員に横領されて泣かないために オーナーが守るべき5つのポイント

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   小売店のオーナーが、閉店後に売上金を専用バッグに詰めてスタッフに渡し、帰りがけに銀行の夜間金庫に入れるよう指示する――。よくある話だ。

   しかしこれは「現金の処理を従業員一人に任せるな」というリスク管理の鉄則に反する行為。オーナー自ら会社の資産を危険にさらしているのだ。実際、こんな横領事件が起きている。

   神奈川県警は5月13日、窃盗容疑で捕まっていた19歳の無職の少年を追送検した。新たな容疑は、業務上横領と軽犯罪法違反(虚偽申告)だ。

着服金はたいがい戻ってこない。未然防止が重要

日銭商売の店舗では狂言強盗にも注意
日銭商売の店舗では狂言強盗にも注意

   少年は、ガソリンスタンドに勤務していた昨年6月ごろ、夜間金庫に預けるよう渡された店の売上金約200万円をそのまま横領。それを隠すため、警察に被害届を出して「男に後ろから両膝を押され、バランスを崩した際にバッグを奪われた」などと嘘をついたという。

   帳簿の改ざん、レジの不正操作、集金記録のごまかしなど、横領隠ぺいの手口には様々なものがあるが、ガソリンスタンドやコンビニのような日銭商売の店舗では、このような狂言強盗にも注意が必要だ。

   「まさかうちの社員に限って」と思いたくなるだろうが、リスク管理に「あり得ない」は禁句だ。その証拠に、同じような事件報道には事欠かない。

・飲食店の店長(男性32歳)が、売上金十数万円を着服。自ら警察に「コンビニを出たところで、若い男の集団に殴られて店の金をかばんごと奪われた」と通報。怪しまれないよう、実際に友人に自分の顔を殴らせて偽装していた
・大手コンビニチェーンの店長(男性、28歳)が、売上金約60万円を着服。勤務中の午前2時半ごろ「目出し帽をかぶった2人組の男に押し入られ、売上金と防犯カメラのレコーダーを奪われた」と警察に通報。右手を自分で傷つけて強盗にやられたとうそをつき、うそがバレないようにレコーダーも盗んだとみられる

   捜査面で批判されることもある警察だが、さすがはプロ。現場検証や「被害者」の供述から、不自然な点にはすぐにピンとくるのだろう。狂言強盗は、たいていボロが出て捕まる。

   しかし、たとえ犯人が捕まっても、着服金はたいがい戻ってこない。実際、どちらの犯人も着服金をパチンコ、パチスロに使い切っており、店のオーナーは丸損だ。やはり、未然防止に越したことはない。

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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