ブラック企業の定義は、やっぱり「違法行為をする会社」で決定だ

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有名大企業の中にも「ブラックな闇」はある

   3つめは、あまり取り上げる人がいないのだが、一見優良な「ホワイト企業」の皮をかぶって、裏で違法行為を平気で行う「偽ホワイト企業」である。

   原因のひとつは「大きなビジネスはきれいごとではできない」という思いあがりである。価格カルテルが摘発され巨額の課徴金を支払う事件が後をたたないのも、こういう理由であり、これを「必要悪」「バレたのは不運」「これで一人前」などと肯定してやまない会社も、確実にブラック企業なのである。

   もうひとつは、幹部個人の資質の問題である。大企業で幹部に出世して社会的な地位が上がると、自分が人間的に偉くなった気がして、何でもありの精神状態になってしまうのだろうか。

   特にセクハラ関係の問題は、非常に多く発生している。組織ぐるみではないかもしれないが、企業体質の問題はある。これを会社の力で問題をひねり潰して表に出ないようにしたり、都合が悪い告発をした社員をクビにしたり、恫喝的に訴えて黙らせることもある。

   事後対応を担う総務や人事の言い分は、何千人もの従業員を抱えれば中にはおかしな社員が事件を起こすものであり、処理にあたっては多少ブラックなこともやらなくては追いつかないというものだ。しかし、いくら企業を守るためとはいえ、不当なやり方をすればブラックと呼ばれても仕方ないだろう。

   このように、ブラック企業の定義を「違法行為」に絞り込んでも、かなり多くの企業が対象になるはずだ。自分たちの主張するイデオロギーにのみこだわり、本丸をおろそかにしてグレー部分で争っているのは不毛と思えてならない。(新田龍)

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新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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