「学年ビリの子を慶応に」 学習塾経営者の書き込みに書籍化オファー相次ぐ

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塾講師「九九できなくても慶応に入れる」

   ただ、教育業界の関係者にこの物語を読んでもらうと、思いのほか冷ややかな反応が返ってきた。ある学習塾講師は、慶応合格という結果は素晴らしいが、本人が本気を出せば成績が1年程度で急上昇する生徒はよく見られるという。

「学年ビリといっても、私立中学受験で合格した実績があるのですから、公立高の底辺学生とはレベルが違いますよ。元々まったく勉強せずにビリなので、3か月程度勉強すれば偏差値は確実に上がります。正直言って『不可能』とか『限りなく難しい』を強調する記述が多すぎるという印象を受けました」

   彼女が通っていた高校は、実は中高一貫の地域トップ女子校のようであり、地頭はよかったようだ。彼女が合格した私大文系学部の試験は、英語と国語、日本史のみ。英語の得点が占める割合がかなり高く、数学はないので「英語さえやれば、九九ができなくても慶応入学には関係ない」らしい。

   書き込みの中にも記述模擬試験の結果が出ており、国語の偏差値は40台だが、英語は70を超えている。ただ、具体的にどのような勉強法で成績を上げたかについては書かれていない。

   今どきの学生の学力は、かなり低くなっているという指摘もある。「今でしょ」で有名な予備校講師の林修氏もインタビュー記事の中で「平均でいうと、明らかに落ちています」「東大でも、下のほうはかなり厳しく、大学側も危機感を持っている」と明かしている。

   少子化で学生数は減っているのに、大学の定員はそれほど減っていないためだが、もしかすると「こういう子でも少し勉強すれば慶応に入れる時代になった」というエピソードとして読んだ方がよいのだろうか。

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