「バースデー休暇」の廃止って、労働条件の不利益変更になるの?

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   業績悪化を受けて、手厚すぎた福利厚生を見直す企業が増えている。仕事に関係のない諸手当を廃止し、仕事に応じた賃金にシフトしているところが目につく。

   ある会社では、業績好調時に作った「バースデー休暇」を廃止しようと考えたところ、社員から猛反発を受けたという。しかし会社としては、社員の稼働率を上げるという課題があり、人事担当者が頭を抱えている。

「元々なかったものを元に戻すだけ」と言えないのか

――ソフト開発会社の人事です。「社員が会社を支えている」という創業者の考えに基づき、3年前から通常の有休のほかに、有給の特別休暇を設けています。

   しかし、業界の競争が激しくなり、コストを抑制しながら開発スピードを上げる必要が出てきました。稼働率を改善するために槍玉にあがったのが、この特別休暇です。

   会社としては、年1回の「バースデー休暇」と、入社3年目・5年目に付与される「永年勤続休暇」を取りやめようと考えていますが、社員からは不満が続出。

「いつも楽しみにしてたのに!」
「家族もそれを当てにして予定を立てているし」

と猛反発を受けてしまいました。永年勤続については「来年ようやく対象になるのに不公平だ」という声もあがっています。

   しかし、もともと法律に定められていないものを、会社が社員に配慮して作った制度を元に戻すだけのこと。既得権として守るべきというのも図々しい気がします。

   特別休暇は就業規則で定めているので、もちろん変更の手続きはします。しかしこのままでは労働者代表から反対意見は出そうなので、会社の事情を説明して突っぱねようと思っています。何か問題はあるでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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