サラリーマンが読む「フジ三太郎」入門(4)
日本人は何かを忘れてませんか? サンペイさん「ボクは忘れてないよ」

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「日の丸弁当」にこだわる

日ソ弁当(昭和52年6月9日)
日ソ弁当(昭和52年6月9日)

   戦後の高度成長を最前線で切り開いたのは、サンペイさんたちと同世代の戦中派でした。戦争が終わって20年がたってスタートした「フジ三太郎」にも、ときに戦争の記憶がチラつくのは当然でしょう。

   いやむしろサンペイさんは意図的にそのようなメッセージを、「忘れてないよ」といわんばかりに発信してきたように思われます。

   「日の丸弁当」という作品があります。昭和52年6月9日のものです。昼食時に同僚のOLが「日の丸弁当」を食べています。ご飯の真ん中に梅干、おかずにサケの塩焼きが付いています。

   三太郎は、それは日の丸弁当ではない「『日ソ』弁当」であると否定します。サケは北方領土でソ連に押さえられている、ゆえにサケが入っていると「日ソ」である、というわけです。そして自分の弁当のフタをあけ、「これが日の丸弁当です」と見せ付けます。そこにはおかずとして、サケではなくイワシが入っています。

   これは単に弁当の話題ですが、沖縄は返還されても、北方領土はなおざりになっていること、そしてそのことに日ごろ多くの人が無頓着になっていることへのサンペイさんの不満がうかがえます。ここでも「自分は忘れてない」「みんなにも忘れてほしくない」というメッセージがうかがえます。

   どうやらサンペイさんは、経済大国になった日本人が大事なことを忘れてないか、そんな「忘れもの」を届けにくる郵便配達のような役割もしていたようです。そして三太郎は、平凡なサラリーマンではありますが、ときにそんなサンペイさんの思いを代弁する、なかなか骨のあるこだわり人間でした。

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