サラリーマンが読む「フジ三太郎」入門(3)
ときどき「戦争の記憶」がよみがえる 4コマで描いた「昭和の歳時記」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

沖縄では「お釣り」受け取らない

昭和56年5月15日の漫画
昭和56年5月15日の漫画

   電文の冒頭には、「沖縄県民の実情に関して、権限上は県知事が報告すべき事項であるが、県はすでに通信手段を失っており…、現状をこのまま見過ごすことはとてもできないので、知事に代わって緊急にお知らせ申し上げる」とあります。

   そして陸海軍の部隊が沖縄に進駐して以来、終始一貫して勤労奉仕や物資節約を強要されたにもかかわらず、沖縄の人々はただひたすら日本人としてのご奉公の念を胸に抱き軍に協力したと称え、この戦闘の結末と運命を共にして草木の一本も残らないほどの焦土と化そうとしている沖縄の悲惨な実情を切々と訴えています。

   大田司令官は約1万人の兵力で米軍を迎え撃つものの、孤立を強いられます。食料も底を尽き、敗色濃い中で、この電文を打った1週間後の6月13日、自決します。

   三太郎はこの「オオタシレイカン」の言葉をしっかり胸に刻んで、沖縄の土産屋に向かいます。お土産を買って千円札を出しますが、お釣りは受け取りません。だまって走り去ります。今の自分にできる精一杯の恩返しです。

   一介のサラリーマンにすぎない三太郎ですが、このときばかりは粛然と襟を正しています。この漫画を読んだ日本中のサラリーマンも、おそらく同じ思いだったことでしょう。

   先日、「4月28日」をめぐって本土と沖縄のギャップが話題になりました。この作品は32年前のものですが、なかなかギャップは縮まらないようです。

姉妹サイト