「あなたが辞めても代わりはいる」層は仕事の奪い合いに
そして、ゾーン3「賃金体系と評価基準のみ統一」ゾーン。この約4000人は、店長や一般社員など基本的に代替可能な人材です。ユニクロ的には、このクラスの人材は「引き抜かれたらしゃあない」とあきらめられるレベルです。
賃金は「給料が安すぎて辞める」「給料が安すぎて人が集まらない」レベルでなければ良いということになり、その基準は国ごとに異なることになります。日本で月給10万円ではだれも来ませんが、インドネシアで月給10万円なら優秀な人材が殺到します。
ただし評価基準は統一になっており、「これができたら昇進」というのは明確になっているのでしょう。つまり、ゾーン2の「実質同一賃金ゾーン」に昇進できる基準は、どこの国の従業員でも同じになるわけです。
ユニクロで面白い仕事ができるかは、このゾーン2とゾーン3が境目になると思います。逆に言うと、ゾーン3にいる限り「あなたが辞めても代わりはいる」存在になる可能性が高くなります。全世界の多くの社員が、この座を奪い合うということになります。
これで得するのは誰か。例えば新興国で年収100万円でゾーン3の一般店長をやっている人が、その働きを評価されてスター店長としてゾーン2に昇格すると、一気に「実質同一賃金」の年収670万円以上に昇給する可能性があります。そうやって新興国の優秀な人材を育て、全世界展開を目指すというのは素晴らしい取り組みだと思うわけです。(森山たつを)
※日本以外の先進国の企業は、どのような評価、賃金体系を採用しているか、日本企業とはどう違うのか? 大石哲之さんとの共著『普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド』(東洋経済新報社)。会社のルールが変化していく中でどうキャリアデザインしていくか迷っている人は、ぜひご一読ください。