治療と仕事の「両立セミナー」や「電話相談」も
企業側への働きかけも進む。厚生労働省は企業や団体への委託事業として、がん検診受診率50%以上を目標に活動する「がん検診企業アクション」プロジェクトを推進。現在950以上の企業や団体の賛同を得ている。
みずほ情報総研も同委託事業として、企業の人事労務担当者を集めた「治療と仕事の両立支援セミナー」を開催。がん罹患就業者の現状や問題点、罹患者が抱える悩みなどを説明しながら、建設的な議論を行っている。
民間でもがん患者への就労支援を行う団体は増えている。たとえば一般社団法人CSRプロジェクトでは、ソーシャルワーカーや社会保険労務士が電話で、経済的な不安や雇用継続などの相談に乗る「就労セカンドオピニオン~電話で相談・ほっとコール」を行っている。
「日本人の死因1位」として長らく認知されてきた分、「がん」という言葉にネガティブなイメージを抱いてしまうのは仕方のないところもある。しかし、そのイメージは時に過剰となり、がん患者の社会復帰を妨げる障害にもなっている。医療技術の進歩とともに、がん患者の就労支援が一刻も早く進むことを期待したい。(有井太郎)