残業が長引き深夜タクシーで帰宅 課長は「そんなカネは出せん!」

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臨床心理士・尾崎健一の視点
ルールを設けて運用すれば野放図にならない

   例外的な行為をするときには、上司に報告、相談するのが原則でしょう。終電に間に合いそうにないことを上司に報告し、事前にタクシーで帰ることを了承してもらっていれば、こうはならなかったと思います。深夜に寝ている上司をたたき起こして許可をもらうのは気兼ねするかもしれませんが、仮に電話に出なかったとしても、それによって言い訳ができた気がします。

   「終電前に帰るべき」「始発で来て続きをやればいい」という意見もありそうですが、システム障害などで緊急対応が必要になることはありえます。そういうときには、やはり担当者に対応してもらい、交通費は会社が出すのが当然でしょう。A君もきちんと仕事をしていたようですし、今回はタクシー代を出してあげてもいいのではないでしょうか。そのうえで、深夜タクシーで帰っていい場合を例示し、必要に応じて上司に報告するなどのルールを決めておけば、野放図になることはないと思います。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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