社会保険労務士・野崎大輔の視点
不支給の場合には仕事を終わらせなくても許容される
この職場では、終電後の残業の前例がなかったのでしょうか。通常は終電後のタクシー代は「支給されない」あるいは「精算可能」という暗黙のルールがあると思うのですが。もしかすると、上司がこれまでの前例をよしとしない人なのか、中途入社のA君が前職で当然だったルールが適用できると思い込んでいたのかもしれません。
深夜のタクシー代を支給するかしないかは、会社の判断でよいと思います。ただし、支給しないと決めた場合は、その人の仕事のスピードとは関係なく「終電までに仕事が終わらなくても仕方がない」と会社が許容することになります。それなのに「仕事を終わらせずに帰った」ことにペナルティを与えると、無効と訴えられるおそれがあります。仕事を終わらせてもらわなければ困るのであれば、会社がタクシー代を支給するか、事務所に宿泊場所を準備したり、ビジネスホテルへの宿泊を認めるなどの対応をすべきです。