アベノミクスの影響で、平均株価は政権交代前から2割超もアップ。円安進行で輸出産業の業績好転が見込まれている。大手企業の中には、社員給与の引き上げを予定しているところも出てきた。
しかし、どの企業の社員も給与アップが望めるわけではなく、大多数の社員が恩恵を受けるとは限らない。給与が据え置かれ、円安デメリットで輸入品価格が上がれば、むしろ家計はより苦しい状況に追い込まれるかもしれない。
デフレ下でも生保の世帯加入率は9割超え
国税庁の調査によると、2011年のサラリーマンの平均年収は409万円と前の年に比べて3万円ダウンした。調査はパート、アルバイト、役員を含めた結果だけに、格差は広がっている可能性もある。先の給与アップもあくまで正社員が対象。正規と非正規の開きはさらに広がり、年収300万円だってザラにあると想定される。
年収ダウンで生活が苦しい中、万が一病の床についたら働けなくなる。生活苦に追い打ちがかかり、目も当てられない状況になったらどうするか。転ばぬ先の手立てのひとつとして、「保険」の研究をしておく必要があるかもしれない。
生命保険文化センターが公表した2012年度版の「生命保険に関する全国実態調査」によると、個人年金保険を含めた生命保険の世帯加入率は90.5%と、3年前の前回調査よりも0.2ポイント上昇している。
デフレが進み年収が下降局面にある中、一般的には保険離れが進んでいるというイメージもあるが、実際には生活を堅実に自己防衛する人は減っていないようだ。
調査から、年収が低めの世帯でも保険に加入していることも分かった。年収300万円未満世帯の保険加入率は79.8%。世帯主が派遣やパートといった非正規雇用者でも、支払った年間保険料は33.5万円だ。世帯年収で見ても200万円~300万円未満では約27万円を保険に支払っている。
年収比率でいうと、約1割を保険にあてていることになる。年収が低いから保険は不要ではなく、年収が足りていないからこそ、いざという時の備えをしている人もいるのだろう。