裁判所から「給与差し押さえ」 そんな社員はウチにはいらん!

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   採用時の書類や試験、面接だけでは、その人の生活態度まで完全に見抜くことは難しい。もし私生活が乱れに乱れていたとしても、表向きはそれなりに仕事をしていれば、会社は社員を解雇できないのだろうか。

   ある会社では、裁判所から「給与差押」の通知が届いたことから、社員が借金まみれだったことが発覚した。社長は「解雇しろ」と激怒し、同僚たちも「会社にはいられないよな」と噂するが、人事担当者は本当に解雇できるのか不安があるという。

ギャンブル、風俗にはまり消費者金融から借りまくり

――機械商社の人事です。裁判所から会社宛に「給与差押」の通知が郵便で送られてきて、大変驚いています。

   差し押さえられる社員は、入社5年目の30代男性Aさん。仕事では特に目立たず、大きな問題を起こすような人ではないと思っていたのですが、プライベートではかなり乱れた生活を送っていたようです。

   本人を呼び出して聴き取りをしたところ、入社直後からパチンコや競馬などのギャンブル、キャバクラや風俗にはまっており、最初のうちは消費者金融1社から借りては返すを繰り返していたそうです。

   それが1年ほど前から、借り入れが1社では足りなくなり、複数の会社から借りて自転車操業になっていたことが分かりました。そこで社長に報告したところ、

「まったく怪しからん。そんなだらしない生活を送っていたとは情けない…。我が社の面汚しだ。そんな社員はウチにはいらん。解雇でも何でもいいから、とにかくやめてもらってくれ!」

と一喝されてしまいました。

   他の社員も「ヤクザからお金を借りて追い込まれてたみたいね」「自己破産するのかな、会社にはいられないよな」と噂になっています。こういうときは会社の社会的評価を下げる行為をしたとして、懲戒解雇にしてよいものでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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