「利息をつけて返したから」で処分を甘くするな
公金管理には本来、銀行よりも厳しい内部統制が求められる。再発防止を決意するなら「温情主義」と安易な「性善説」とは決別せざるを得ない。まずは不正に対する厳罰化が必要で、Bに対しては、懲戒解雇はもちろんのこと刑事告訴も検討すべきだ。
「親族から援助を得て、利息も付けて返還するようだ」という話を聞くと、「かわいそうに」「返すなら許してあげれば」と考えてしまうのが人情かもしれない。しかし、処分の甘さは次の不正の温床となる。職員全員に「市民の税金を横領したら地元での将来はない」という強いメッセージを送らなければ、問題はなくならない。
ずさんな管理をしていた上司にも、口頭注意や戒告などの当たりさわりのない対応ではなく、降格等の踏み込んだ処分が必要だ。社協に公金をつぎ込み幹部を派遣している市の責任も見過ごせない。「天下り先である身内に甘い」と批判されているのも事実であり、市民に対する背信行為を放置してはいけない。
これまで「身内を疑うなんて」と敬遠されてきたかもしれないが、「どんな人でも、放っておくと悪いことをするかもしれない」という性悪説的な発想による管理への転換も必要だろう。
とはいえ、いくら不祥事を重ねても組織が取りつぶされないと社協側が思っている限り、危機感を強めろと言っても変わらない。議会や市民が常に厳しい目でチェックし、変われない組織には退場を命じるくらいのプレッシャーをかけることも必要だ。各社協には、今度こそ奮起を期待する。(甘粕潔)