SNS全盛時代に再注目される「バイラルムービー」 スプライトのメイキング動画は1か月で170万回再生

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   マーケティング業界で「バイラルムービー」が再注目されている。「バイラル」とは「ウイルス性の」という意味。インターネット上の口コミを介して、動画を使って低コストで高スピード、広範囲に情報を拡散させる手法が期待されているのだ。

   インターネット上で動画が気軽に閲覧できるようになった2000年代半ばから、その可能性は指摘されていた。それが近年になってツイッターやフェイスブックなどSNSの利用者が爆発的に増えたことにより、拡散スピードが一気にあがり、その効果も高くなっていると予想されている。

「自販機の高さは6メートル」などCMにない情報も追加

「瞬間爽快」を表現するために考え抜かれた巨大スプラッシュ自販機(動画より)
「瞬間爽快」を表現するために考え抜かれた巨大スプラッシュ自販機(動画より)

   バイラルムービーは、最初からネット配信用に作られたものもあるし、テレビCMをそのままネットに掲載しているものもある。この中間として、テレビCMとして流したものをネット用に再編集して配信しているものもある。

   テレビCMを絡めたバイラルムービーには、テレビCMの前後のシーンを含めた「ロングバージョン」や、CM制作の裏側を紹介する「メイキング編」などがある。時間の制約上がないのでテレビで流せなかった部分を見ることができる。

   いわゆる「続きはウェブで」の一種だが、テレビCM用に撮影した映像を再編集するという意味では、一石二鳥と言えるのかもしれない。

   最近の例では、日本コカ・コーラによる「ザ・スプライト自販機」のキャンペーン動画が記憶に新しい。YouTubeでは公開から1か月で、170万回以上視聴されている。

   巨大な自動販売機のボタンを押すと、上からスプライトの商品が勢いよく落ちてきて、スーツを着たサラリーマンやOL、カップル、女子高生たちが大量の水しぶきでズブ濡れになる。「瞬間爽快」をうたう商品の特徴をうまく表現したムービーだ。

   メイキング編のバイラルムービーでは、「巨大自販機の高さは6メートル」「噴出用に用意された水の量は500リットル」「自販機の取り出し口の角度は45度に設定」など、CMにはなかった情報も盛り込まれている。

   視聴者の反応もよく、「YouTube広告で初めてフルで楽しめたCMです」「こんなのあったら、やってみたいと思うわ~♪」などのコメントがついている。

テレビで放送できない「どぎつい表現」受け入れられるか

   日本コカ・コーラの「つきぬけ爽快!スプライトブランドサイト」からは、テレビCM用の短いバージョンと、バイラルムービーの両方が閲覧できる。

   サイトによると、この「ザ・スプラッシュ自販機」を今年の夏、日本のどこかに設置する計画があるようだ。もし設置されたら、CMと同じような体験をしたい人たちが大勢集まってくるのではないだろうか。

   バイラルムービーは、ネット配信する分には媒体費は必要がない。しかし映像のクオリティの高さが口コミを生むことも多く、映像制作費が安く済むとまではいえないだろう。その意味で、テレビCMの材料を再編集するバイラルムービーは、今後あたりまえのように増えていくと予想される。

   一方で、テレビCMとは絡めないバイラルムービーにも、なかなか強力なものがある。海外ユーザー向けに配信されているムービーの中には、セクシーさが強烈なものや、衝撃的事故のシーンを使ったもの、長めのドラマ仕立てで泣かせるものが目につく。

   いずれもテレビCMではやりにくく、ネットならではの強みを生かした表現だ。日本の視聴者に受け入れられるかどうかは未知数だが、いずれこのような分野に踏み込んでくる企業も出てくるのではないだろうか。

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