「グローバルな仕事をしたい!」――。そんな希望を多くの若い人から聞きますが、日本人が複数の国を股にかけた仕事をするポジションに最も就きやすい会社って、どのような会社かご存じですか?
おそらくそれは外資系企業ではなく、日本にある日本企業です。私は、日本の大手製造業と、米系大手IT企業の日本支社に勤めた経験がありますが、より多くの国の人々と仕事をしていたのは日本企業時代でした。
外資の日本支社が担うのは「ローカル仕事」
あまり知られていませんが、外資系企業の日本支社が任されているのは、主に日本ローカルの仕事です。海外本社からの指示に基づき、日本国内の営業活動などを担う場合が多いです。
韓国の仕事は韓国支社が、インドネシアの仕事はインドネシア支社が行うので、日本支社が他国で仕事を行うことはあまりありません(顧客企業のインドネシア進出支援などはありますが)。
それに対して、日本企業の本社に勤めている場合、日本市場向けのローカルの仕事以外に、世界各国の支社を統括する仕事がたくさんあります。
私は製造業時代、世界8カ国の工場間の物流の仕組みを改善するため、各工場のメンバーをとりまとめてシステムを構築する仕事をしていました。メールの8割が英語、朝から晩まであちこちの国のスタッフとテレビ会議をする仕事です。
それでは、なぜ日本企業に入ると有利なのか? それは「日本企業の本社機能を担うスタッフのほとんどが日本人である」という事実があるからです。
日本の製造業において、グローバル統括の中枢を占めている役員職の国籍は9割以上が日本人です。日産やソニーなど、CEOが外国人である(あった)会社ですら8割近くが日本人なのです。
これに対し、外資系企業の役員には様々な国籍の人材が名を連ねています。欧米企業で役員になるには世界中の人と争わなくてはならず、ライバルが多くなります。しかし日本企業で役員になるには日本人とだけ争えばいいので、外国人よりずっと有利になるのです。