グローバルにならなければならないのは企業の方だ
対策は実にシンプルで、勤続年数をベースとした人事制度から、現時点での役割に応じた処遇を提供する人事制度に切り替えればいい。これなら、途中で休職することを気にすることなく、企業は採用面接で優秀だと判断した人材を自由に採用することができる。休職後の復職のハードルも下がるだろう。
ちなみに、国内であっても、終身雇用を意識していない外資系企業や新興企業は女性の採用に積極的だ。
筆者のお付き合いのあるIT系企業の社長は「うちはサイバーエージェントとは違う!」と言いつつ、新卒採用のほとんどを女性で固めている。大手が男子を率先して採用する結果、新興企業から見れば、相対的に女性が優秀に見えるからだ。
同じことは、外資系企業においても言える。「日本企業で採用されなかった女性がわが社の日本支社を受けにくるが、なぜあんな優秀な人材が採用されないのか」という質問を、筆者自身しばしばされる。
近年、日本の産業人から「学生はもっとグローバルになれ」とか「国は早く移民を受け入れろ」といった意見を耳にすることが多い。だが、まず最低限の世界標準を満たすべきなのは日本企業自身だというのが、かねてからの筆者の持論だ。(城繁幸)